17世紀に確立された古典物理学の歩みをなぞると、現代のビジネスやAI活用にも通じる“発見力”と“モデル構築力”の重要性が見えてきます。
今回は、古典物理学の主な発見を、ガリレオ、ケプラー、ニュートンといった科学者たちの業績に沿って振り返りながら、その思考法が現代ビジネスにどう応用できるのか、またAIに再現できるのか?という視点で読み解いていきます。
ガリレオ・ガリレイ(1564–1642)は、「物体の落下速度は重さに関係しない」という実験結果で、自然界の法則が直観や常識と異なることを示しました。
また、運動についての深い洞察も残しています。特に重要なのが以下の2点です:
🚅 新幹線の車内で静かに座っているとき、動いている実感がないのと同じです。
この発見は、後のニュートン力学やアインシュタインの相対性理論にも繋がる、「運動の本質とは何か」を考える重要な視点でした。
当時の思想では、「天は完全な存在」であるため、円運動こそが宇宙の秩序を表すと信じられていたのです。
📌 結果として、観測データに無理に理論を合わせる“帳尻合わせの科学”が続いていました。
ケプラー(1571–1630)は、天文学者ティコ・ブラーエの観測データをもとに、惑星の軌道が楕円であることを突き止めました。
これは、「宇宙の秩序は円ではなく、自然の姿に忠実な形として楕円である」という、人類の宇宙観を根本から覆す発見でした。
🔍 ケプラーの功績は、観測結果に合わせて理論を“補正する”のではなく、**「理論そのものを変えた」**ことにあります。
ニュートン(1642–1727)は、ガリレオの慣性の考え方とケプラーの軌道理論を統合し、あらゆる物体の運動を支配する「力」の法則を確立しました。
つまり、ビジネスでも「加速度=力 ÷ 質量」という視点で戦略を設計することができるのです。
AIが得意なのは、「Fとaの関係を大量のデータから導き出すこと」です。
しかし、AIには次のような限界があります:
つまり、AIは法則を“発見”することはできないのです。できるのは、既存のモデルに基づく予測やパターンの抽出に限られます。
現代ビジネスでも、以下の力がますます重要です:
これらは、AIにもアルゴリズムにも真似できない、「人間の創造力」に他なりません。
古典物理学は、自然を理解するための「モデル思考」の原点です。
ガリレオが相対性を発見し、ケプラーが円の呪縛を断ち切り、ニュートンが力を数式で定義したことで、世界は「見えるもの」から「予測できるもの」に変わりました。
私たちも、目の前のビジネスの現象に対して、「どんな力が作用しているのか?」「どうすれば動かせるのか?」という視点で向き合うことが、新しい発見と変革の第一歩となるのではないでしょうか。