AIエージェントの進化により、コンサルティング業務のあり方が大きく変わりつつあります。一方で、現場からよく聞くのは「便利そうなのは分かるが、何から取り組めばいいのか分からない」という声です。本記事では、当社がコンサル事業で実践しているAI活用のフレームワークを、実例とあわせてご紹介します。
AI活用の第一歩として「やってみたほうがよさそうなこと」を積み上げていくことは大切です。議事録の要約、資料のたたき台作成、メールの下書き。こうした小さな成功体験が活用の裾野を広げます。
しかし、それだけでは活用は場当たり的になり、いずれ頭打ちになります。理由はシンプルで、現状業務の延長線上(AS-IS起点)でAIを当てはめているだけだからです。AIエージェントが業務を代行できる時代に本当に問うべきは、「今の業務のどこにAIを使うか」ではなく、「AIエージェントが使える前提で、自分の業務はどうあるべきか」です。つまり、AI時代だからこそゼロベースでの目標設定が重要になります。
当社では、この考え方を次の3ステップのフレームワークとして実践しています。
ポイントは、これを一度きりの取り組みではなく、AIエージェントと一緒に回し続けるサイクルとして運用することです。
ゼロベースの目標は思いつきでは作れません。まず、AIエージェント業界で何が起きているのか、先進企業がどこまで自動化を実現しているのかを調査します。当社ではAIのディープリサーチ機能を使い、業務自動化・ナレッジ管理・エージェント運用など複数テーマの動向調査を実施しました。
調査結果を自社のコンサル業務・経営業務に引き付けて、「どの業務を、どこまで、いつまでに自動化するか」を目標として明文化します。ここで描いたTO-BEが、以降のすべての活動の基準になります。
次に、現状のAI利用状況を棚卸しし(AS-IS)、Step1で描いたTO-BEとのギャップを識別します。このギャップ分析はAIエージェント自身に行わせるのが効果的です。人間が気づいていない改善余地まで洗い出してくれます。
当社の実践では、この分析から10件以上の課題が抽出されました。抽出した課題は一覧表で管理し、優先度を付け、実施可否を人間が判断したうえで実施計画に落とし込みます。AIが課題を提案し、人間が意思決定する。この役割分担が、活用を暴走させず着実に前進させる鍵です。
承認した課題から順次、施策を実行していきます。当社で実際に半自動化した業務の例です。
重要なのは、作って終わりにしないことです。毎朝のブリーフィングに対して気づいた点をその場でAIにフィードバックすると、それがナレッジとして記録され、翌日以降の動作に反映されます。日々のフィードバックがAIエージェントを育てる。この改善ループこそがフレームワークの心臓部です。
このサイクルを回し始めてから、定型業務の多くが半自動化され、人間は判断業務――顧客への提案品質、案件の意思決定、メンバーの育成――に時間を集中できるようになりました。また、課題一覧とふりかえりの仕組みにより、AI活用の取り組み自体が「見える化」され、継続的に前進していることを実感できています。
コンサル事業のAI活用を前に進める要点は、次の3つです。
「何から取り組めばいいか分からない」と感じている方は、まず世の中のTO-BEを知ることから始めてみてください。あるべき姿が見えれば、取り組むべき課題は自然と浮かび上がってきます。当社では、こうした実践知見をもとに、お客様のAI活用推進のご支援も行っています。お気軽にご相談ください。